エピローグ


エイコ 君は覚えているかい
ぼくらがはじめて出会った頃のことを
君は頭がよくて しかも美しかった
そんな君にぼくは夢中になってしまった

君には夫も子どももいて
しあわせそうな奥さんで 母親でもあったから
そんな君を誘惑するのは 罪だとは分かっていたけれど
ぼくは君を誘惑して 不倫の愛の道連れにしてしまった

君は罪の意識にさいなまれながら
ぼくとの間に甘美な時間を持ってくれたね
それがいつまでも許されることではないと
頭の中ではいつも 別れの予感はしていたけれど

いざ君を失ってみると ぼくは限りなく切なく悲しい
そして弱々しい声で 自分に向かってこう叫ぶんだ

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて

エイコ
ぼくは悲しい
ぼくは悲しい
ぼくは悲しい
ぼくは悲しくって こう叫びたくなるんだ

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて

エイコ 君は覚えているかい
ふたりで手をつないで草原をかけまわり
息をはずませながら抱き合ったことを
そして草むらの上に 折り重なるようにして寝転んだことを

自然の神秘を見て そこに人間の神秘を重ね合わせ
ぼくらの愛が不思議で 神秘な絆で結ばれていることを
厳粛な気持で確かめ合ったことがあったね
ぼくらの愛は偉大な自然の営みの一部なのだと

でも君はもう いなくなってしまった
ぼくはせつなくなって 自分に向かってこうささやくんだ

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて

エイコ
ぼくはせつない
ぼくはせつない
ぼくはせつない
ぼくはせつなくって こう叫びたくなるんだ

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて

エイコ 君と別れてしまったあとでも
ぼくらはまだ完全に 切れてしまったわけではなく
君をじかに抱くことはできないまでも
君とメールを取り交わすことくらいはできた

でももうそれさえも できなくなってしまった
君にはもうメールを 送ることさえできなくなってしまった
ぼくはそのことで 思い知らされたんだ
ぼくは完全に そして永遠に君を失ったんだと

ぼくは呆然として セミの抜け殻のようになり
弱々しい声で 自分に向かってこうつぶやくんだ

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて

エイコ
ぼくは苦しい
ぼくは苦しい
ぼくは苦しい
ぼくは苦しくって こう叫びたくなるんだ

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて

エイコ 思ってもみなかったよ
君を失うことで こんなにもつらい思いをするなんて




前の詩へHOME目次次の詩へ


 


作者:愛の詩人とその恋人
編集者兼著作権管理者:壺齋散人
All Rights Reserved (c) 2009
メール: chimei_an05@yahoo.co.jp