緋色の愛 三十五


エイコ 君は人の妻だから
時には夫の求めに応じなけければ
ならないことくらい分っているよ
ぼくはただの友達にすぎない立場だもの

だけれども時には
強烈な嫉妬を感じることがある
ぼくの見たことのない男が
君を抱いている姿を思い浮かべると

君はベッドの上で
仰向きになって男を抱きかかえ
男は君の首筋や乳首の先を
執拗に嘗め回しながら君を愛撫する

ぼくのときと同じように
君は夫の前でも声を立てないのかい
夫のペニスを腹の中で感じるとき
君の頭の中はどんな色に染まるんだろう

ああ こんなことを考えるなんて
ぼくはなんて下劣なんだ
そんな自分の下劣さに
腸がちぎれ 吐き気がこみ上げる

でもこれも君への思いがさせること
ぼくは君をぼく一人だけの君にしたい
できれば君をかっさらって どこかへ逃げてしまいたい
ぼくは切なくて 切なくて たまらないんだ

だからエイコ お願いがあるんだ
ぼくと一緒にいるときには
君の夫の影を忘れさせて欲しい
君がぼくだけのものと感じさせて欲しい

エイコ 君は人の妻だから
時には夫の求めに応じなけければ
ならないことくらい分っているよ
ぼくはただの友達にすぎない立場だもの




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作者:愛の詩人とその恋人
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