緋色の愛 三十三


エイコ 君はぼくとセックスした朝は
体中から甘い匂いを漂わせているね
こうして手をつないで散歩している間にも
その甘い匂いがぼくを包み
先ほどの甘美な時間が甦ってくる
ぼくはうっとりとして君を抱き寄せ
もう一度君とのセックスの余韻にふける
君のその甘い匂いを胸いっぱいに吸って

エイコ ぼくは君のその甘い匂いを
いつかも嗅いだことを思い出した
あれは君と出あって間もない頃のこと
出勤してきた君はぼくに挨拶をして
ぼくの傍らに立ったことがあった
そると君の体からいまと同じ匂いが漂ってきて
ぼくはワケのわからないままに狼狽した
君のその甘い匂いを胸いっぱいに吸って

エイコ 君は人の妻だったから
朝からセックスしてたって不思議じゃない
だからあのときに君が漂わせていた甘い匂いも
夫としたセックスの余韻だったと思う
ぼくは身を退けたくなるほど挑発を感じた
でもそんなことにこだわるのはやめよう
ぼくは今 心がとろけるほどうっとりとしている
君のその甘い匂いを胸いっぱいに吸って

エイコ 君はぼくとセックスした朝は
体中から甘い匂いを漂わせているね
それは君の肉体が覚えている愉悦の余韻
ぼくの肉体もそのときの愉悦に連れ戻される
君のその甘い匂いを胸いっぱいに吸って




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作者:愛の詩人とその恋人
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