緋色の愛 二十八


エイコ 目覚めたら君は布団のなかにいない
君は窓にもたれかかって外を見ている
真っ裸の後姿をぼくのほうに向けて
両膝を立て 両肘を窓の桟にかけて
組んだ両手の上にあごをちょこんと乗せて
雪が舞い散る外の景色を眺めている
そうか ここは山小屋なんだ
山の中では雪が降ってるんだ
エイコ 君の裸の後姿が雪を背景に浮かび上がり
寒さのせいか お尻が引き締まって見えるよ

エイコ ぼくらは昨日八ヶ岳に登って
たそがれ時にこの山小屋についたんだ
季節はもう初夏だというのに
山道には根雪が残っていて歩きづらかった
君はよくがんばって登ってきたね
山小屋にはぼくらのほか誰も泊まってないから
ぼくらは人に気兼ねせずふたりだけの時間を持てた
そしてふたりとも真っ裸のまま抱き合って寝たんだ
エイコ 君の裸の後姿が雪を背景に浮かび上がり
寒さのせいか お尻が引き締まって見えるよ

エイコ 雪の舞い散るのを見つめている君は
まるで少女のようにあどけなく見えるよ
雪の降るのがそんなにきれいに思えるのかい
ぼくにも君の肩越しに雪の降るのが見える
でも裸のままずっとそうしていたら
風をひいてしまうかもしれない
さあぼくのところに戻っておいでよ
君を抱きしめて暖めてあげるから
エイコ 君の裸の後姿が雪を背景に浮かび上がり
寒さのせいか お尻が引き締まって見えるよ




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作者:愛の詩人とその恋人
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