緋色の愛 十七


わたしたちの愛を色にたとえるとしたら
どんな色がふさわしいでしょう

バラ色の愛といえたら素敵だけれど
わたしたちのそれは バラ色とはいえないわね
わたしたちの愛は 誰からも祝福されない
かえってかけがいのない人たちを苦しめるだけ

わたしたちの愛は あってはならないものだから
白い雪がひとときに 舞い騒ぐようにはかないもの
だからその愛を白い愛といったら 雰囲気が伝わるかもしれない
けれどそんな色でわたしたちの 深い愛を言い現したくない

わたしたちの愛は深いけれど いつも不安な色に彩られている
だからその愛を ブルーの愛と言い現わしましょうか
わたしたちは愛しあいながら つねに何かにおびえている
その気分はブルーに近いけれど それでは余りにやるせないわ

いっそ黄色い愛と言い表しましょうか
いつかフランスの詩人 トリスタン・コルビエールを読んでたら
深く切なく報われない愛を 黄色い愛と呼んでたわ
でも黄色だなんてどこかいやね 私たちにはふさわしくないわ

バラ色のように赤いけれど ただ赤いだけではなく
その中に黒味がかって 不安な気分を含んだ色がある
それは緋色 真っ赤に燃え盛りながらどこか人を不安にさせる色
真っ赤に燃えた欲望と黒い不安が わたしたちの愛そのもののよう

わたしたちの愛を色にたとえるとしたら
それは緋色の愛とでもいうのでしょうか




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作者:愛の詩人とその恋人
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