亀戸天神(26×36cm ワトソン 2004年4月)

天神様といえば梅が付物だが、ここ亀戸の天満宮は藤の花で名高い。既に江戸の頃から名が聞こえていたらしく、明治の半ばには、藤の花を愛した子規居士が病身を人力車に乗せられて、根岸の里からわざわざ見に来たこともある。その折の様子を、子規らしい爽やかな文で綴っている。

この年は春早くから暖かい日が続き、4月のうちに藤が咲いたという知らせに接して、スケッチ道具をリュックサックに背負ってやってきた。果たして期待に違わず見事な色に咲きそろっていたのは喜びであった。昨年は五月の連休の合間に来たのだが、花はみな小ぶりで色あいも貧しく、株が老化したせいかと疑ったほどだったのである。

とにかく狭い敷地に池を巡らし、その周囲に棚を設え株を這わしているので、大勢の見物人が集中すると、ゆっくり腰を下ろす余地がない。それでもさっと描いた線に淡く色を乗せ、仕上げは家に帰ってから行った。この池は亀の数が多い。渡り損ねた鴨の類も泳いでいたりする。赤く塗られた太鼓橋は昨年は工事中だったが、今年は絵に色を添えてくれた。
  





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