愛のときめき 十


あなたと始めて出会って
わたしたちにあてがわれた仕事を
あなたと二人だけで始めた頃は
正直いって心細かったわ

あなたは体つきも華奢だし
押し出しだって強くない
こんな調子でむつかしい交渉ごとを
できるのかしらと心配だったわ

だってわたしたちの仕事は
互いに利害の違う人たちを相手に
なんとか調整して妥協点をみつけ
納得してもらわなければならないんだもの

案の定仕事が進むにつれて
あなたは相手から散々に小突きまわされ
あっちへふらふら こっちへふらふら
そばで見ていてハラハラしたわ

特にあなたが優柔不断なのに
わたしはいつもイライラしたの
そのイライラが高じるあまりに
メランコリーな状態にもなったわ

わたしだったらこうするのにと
あなたにいったことも少なくないわね
時には感情を爆発させて
あなたを罵ったこともあったわね

でもそれも過ぎ去ったこと
仕事のメドもなんとかついて
胸を張って歩けるようになった
結局あなたの粘り勝ちね

あなたと始めて出会って
わたしたちにあてがわれた仕事を
二人でクリアできたのですもの
わたしはわたしたちを誇らしく思う

イチョウの枯葉が舞い散る中を
あなたと二人で歩いていると
あなたの肩が頼もしく見えるわ
あなたの横顔が素敵に見えるわ




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作者:愛の詩人とその恋人
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