イタリア紀行
HOMEブログ本館続壺齋閑話フランス文学英文学日本文化ロシア情勢|プロフィールBBS


イタリア紀行その一:ローマへ

九月廿五日(金)煙雨の中午前九時半頃家を出で、京成経由にて十一時頃成田空港に至る。第一空港ビル内の両替所にて両替をなすに一ユーロあたり百三十八円のレートなり。為替の実勢は百三十三円ほどのはずなり。北ウィング四階出発ロビーにて文子と落ち合ひ、チェックイン手続をなして後、五階の食堂にてラーメンを喫す。しかして、アリタリア航空AZ785便十三時十五分発ローマ行に搭乗す。飛行機は予告通り離陸せり。

離陸後飛行機は機首を北へ向け、新潟上空より日本海を出でそのまま北上せる後、樺太の手前にて左旋回し、ロシアの沿海州に進入す。その後ハバロフスク、アルダン高原の上空を経てシベリア平原を西に進み二十二時三十分頃モスクワ付近の上空を過る。

この間、十四時三十分に昼食、十九時三十分に軽食、二十四時に夕食の供応あり。しかして十二時間半を費やして後、飛行機は二十五時二十五分(現地時間午後六時二十五分)にローマ・フィウミチーノ空港に着陸す。入国手続をなさんとするに入国カードの記載を要さず、パスポートの確認のみにてすむ。手続後荷物受渡場に至れば旅行会社の現地女性係員出迎へに来りてあり。彼女に案内せられてマイクロバスに乗り込みローマ市内に向ふ。同乗者は初老の女性一人のみにて投宿先も異なれり。


(投宿先、ホテル・アール・デコ)

空港を去りしは七時頃なりしが、その頃より俄かに昏黒となりぬ。七時半過ぎホテル・ベスト・ウェスタン・アール・デコに投ず。テルミニ中央駅の北一キロ足らずの距離に位置す。ホテル内には日本人女性係員待ち構へてあり。我々を出迎ふるや、チェックイン手続を代行し、簡単なるガイダンスをなす。ローマにて移動するは地下鉄を最も便利とす。バスは便宜ありといへども、日本における如き懇切丁寧なる案内をなさず。客は自分の責任にて乗降車するなりと云々。その他有益なる情報を得る。

部屋に入るやまずスーツケースを解いてパソコンを取り出しインターネットへ接続す。Wi-Fi を用ひての無線接続なり。今やパソコン一台にて世界中いづこともつながりをるは実に文明の一大痛快事といふべし。一段落の後付近を歩み、とあるスーパーマーケットにて買物をなす。ウィスキー、ワイン、ビールの類なり。夕食は飛行機内にてすませたれば重ねて食らふことなし。

部屋に戻りシャワーを浴びて後ウィスキーを舐めつつ暫時歓談。文子財布を失ひたりといふ。フィウミチーノ空港に置忘れたるが如しといふなり。その故を聞くに、空港にて出口に向ふ途中方向を取り違へてトランジット窓口のセキュリティチェックを受けをる時、係員との応対に気を取られ財布を置忘れたるが如しと。中身は如何と問ふに日本円の現金のほか運転免許証を納めをる由。現金はともかく運転免許証は紛失の届出をなすべし。明日旅行会社の現地案内所に赴きて相談すべしといひながら床に就きぬ。





HOMEイタリア紀行次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2015
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである