廿世紀浴場(26×36cm ワトソン 2006年10月)
かつては、東京の街のいたるところにあった銭湯を、今ではあまり見ることがなくなってしまった。それでも、下町のところどころに、ぽつんととり残されたような銭湯の建物が、遠慮がちに煙突をたて、町の人々のためにがんばっている姿をみると、なんとなく気持ちの和むのを覚える。
これは、廿世紀浴場といって、山谷のはずれ、日本堤の一角に立っている銭湯である。洋風の洒落た外観が、なかなか絵になるというので、わざわざ訪ねていってスケッチしてみた。
建てられたのは昭和4年(1929)というから、戦火を潜り抜け、風雪に耐えてきた建物だ。当時建てられた銭湯は、正面玄関の上に唐破風を配した宮風のつくりのものが多かったが、これは、ごらんのような洋風のつくりである。丸窓と半円の窓、それにスペイン風の屋根がポイントになっている。内部には立ち入らなかったが、やはりそこここに工夫が凝らされているということだ。
いづれ、のんびりと入浴するのも一興であろう。