秋葉原・聖橋からの眺望(28×38cm ワトソン 2006年5月

かつて広重が描いた茶渓の風景を、聖橋の上に立って、逆の角度から描いてみた。遠景の建物群は秋葉原あたりのものである。

このあたりはもともと、湯島から駿河台にかけて連続した丘だったものを、神田上水の余り水を流すために掘削されたもので、上流と下流の水位差から自然とこのような渓谷ができあがった。町の中心に風光明媚な景観が出現したとあって、俄然江戸の名所となり、多くの遊客を集めたとものの記録にある。

今日の茶渓には何本もの鉄道線路が交錯して、眺めを複雑なものにしている。画面中央の鉄橋は総武線を通すためのもので、右手のほうで中央線の線路と交わりあう。また手前に描かれている地下鉄丸の内線の線路は、このあたりで地上へ顔を出し神田川を横切る。聖橋にたってスケッチしていると、いづれかの線の列車がこもごも通過して、見飽きるということがない。

左手の建物群は、神田川の護岸にへばりつくようにして並んでいるため、川の景観を著しく損なっている。現在ここにあるのは、何らかの歴史的事情によるのかもしれないが、いまひとつ川との調和を期待したいところだ。






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