裏新町(23×30cm アルシュ 2002年9月)

佐倉の町は馬の背中のような細長い台地の上に乗っている。この背中を貫くようにして国道が走っており、この名ばかりで狭くてみすぼらしい一本道にそって家々が立っているのである。新町と呼ばれるあたりは、国道のほかもう一本の道が作られ、裏新町と呼ばれている。狭い台地に無理に通した道であるから、道幅はより一層狭く、裏手はすぐ崖になっている。少年時代、私はこの道を通って毎日学校に通ったのだった。

裏新町といっても正式な町名ではない。新町の裏側に当たるところからつけられた俗称である。江戸の昔から佐倉の町屋は六つからなり、そのうち中心部となったあたりを新町といった。東の成田寄りにある本町に対してそう名づけられたのである。新町はさらに十いくつかの小さな町に別れ、それぞれが山車を持ち寄って秋の祭りを行う。

私の子どもの頃はそれこそ寂しい通りだった。今みてもあまり変っていない。絵の左手には表通りに面した店の裏口が続き、右手には質屋やら料理屋があった。左奥に覗いている高い建物は市立美術館で、もと銀行の古い洋風の建物だったものを最近になって改造したのである。




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