夏見台下(F4号 ウォーターフォード 2004年10月)

船橋の市街化は急速で、南から北へ、台地から低地へと、あっという間にかつての田園を住宅地帯に変えてしまった。

それでも台地の崖線に沿った土地は人が住まうには向かぬらしく、開発は最後まで及ばなかった。東京多摩川沿いの崖線と同じく、樹木に覆われ深い緑に包まれた崖は都市の中に残された貴重な自然となっている。船橋の北郊は台地が多く、その崖線に沿ってみごとな森が多く残されているのである。だが近年はそこでも斜面を切り崩しコンクリートの壁で覆って、土地を捻り出そうとする動きが見られぬわけではない。 

この絵は、夏見台地の西側の崖線に沿って長津川が細々と流れるあたりの風景を描いたものである。ごらんのように崖は削られて急な斜面になっており、それこそ絶壁のようである。崖下のわずかな土地にも家が建ち、崖上には中高層のマンションが城壁のように立ちはだかっている。それでもここは、崖を全てコンクリートで覆うことをせず、樹木の残されているのが救いである。
 



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