水彩で描く東京風景
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日比谷公園:水彩画・東京風景



日比谷公園 (24×33cm クラシコ5 2002年7月)


まだ若かった頃、勤め先が丸の内にあったこともあり、日比谷公園へはよく出かけた。その頃にはテニスが流行していて、昼休みに園内のコートで一汗流したり、夏の夕暮時には松本楼で生ビールを飲んだりした。日が落ちてあたりが暗くなると、西洋花壇周りのベンチでは若い男女が濃密なささやきあいを始め、その足元には不審な男が身を潜めて、女性たちのバッグを狙っていたりする。ここはアベックの天国でもあるのだ。

最近でも、日比谷の映画館に寄った帰りに、ここで寛ぐことがある。絵にある光景は、そんな折に見かけたものだ。学生らしい若い人たちが輪になって何かやっている。近づくと、合唱の稽古なのであった。リーダーの女性の合図にしたがい、美しいハーモニーが流れた。

この公園には野外音楽堂があるし、公会堂の建物は長い間日本のクラシック音楽の舞台となってきた。わたくしが生まれて始めて聞いた第九の合唱も日比谷公会堂でだった。だから、この公園のなかで合唱の稽古を見かけるのは、ごく自然なことのように思われるのだ。




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