2006年5月3日 東京駅


東京を描く市民の会では、毎年5月3日に東京駅のスケッチ大会を催しています。この年は19回目の大会になりますが、すばらしい青空の下、多くの皆さんが集まりました。

今年は東京駅にとっては節目となる年です。長年の懸案であった改修工事がいよいよ始まるからです。この改修を巡っては、現存する駅舎を取り払うか、或いは移築して、その跡に超高層ビルを建てる案が出されたり、丸ビルのように、高層ビルの基層部に外観だけを再現するプランが立てられた経緯がありましたが、最終的には、建築当初の姿にもどす案が採用されるに至りました。

東京駅は先の大戦中の空襲によって三階部分を吹き飛ばされたため、残った部分を生かして二階建てとし、その上に新たな塔を乗せて現在のような姿になりました。建築当初の姿からみれば、ずいぶんと惨めな様相に変化したとはいえ、それでも赤レンガの威容は多くの人々を魅了してきたのです。

そのような人々の中にあって、描く会の会員たちは保存再生を特に強く訴えてきました。その甲斐あって、単に現状を保存するにとどまらず、建築当初の姿に戻すという画期的な結論を得ることができました。

この日、現場に集まった会員たちは、これまでの運動の成果を振り返りながら、やがて再建されるべき東京駅の姿を思い描きながら、眼前の東京駅をスケッチしました。



会員の皆さんは、東京駅丸の内口の北側の広場に集まりました。

東京駅が現在の姿で見られるのは今年が最後です。

遠からず工事が始まり、建物全体は防御壁で囲まれることになります。
スケッチに余念のない人びと
前野会長の話によれば、東京駅の改修を巡ってはさまざまなドラマがあったとのこと。とにかく都心の超一等地ですので、資産価値を活用しようとの思惑から、駆け引きも並々ならぬようでしたが、保存修景の思想が生き残ったのには、東京駅を愛する人々、とりわけ駅長さんの熱意が決定的な影響を及ぼしたようです。




この日、散人が描いた一枚 スケッチする人びとの後姿を描きました




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