旧岩淵水門(25×34cm クラシコ5 2003年5月)

隅田川と荒川の合流地点に二つの水門が設置されている。そのうち赤く塗られているのが古いほうの水門で、大正時代に荒川放水路が開削されたときに作られた。東京を隅田川の洪水から守る貴重な施設である。老朽化のため昭和の末に新しい水門が完成したのを機に取り壊されようとしたが、地元の保存運動によって生きながらえた。このような土木施設でも、絵になる姿が人々に愛されるに至ったのであろう。

初夏の一日、わたくしは船に乗って隅田川を遡上する機会があった。川に架かる橋を下から眺めるのは、また一風変った体験である。荒川との合流地点に差し掛かると、最初に青い水門が現れ、ついで赤く塗られた水門が現れる。船はこの水門の前を大きく旋回して荒川に入っていく。足の速い船であったから、スケッチする時間にゆとりがなく、写真の映像を参考にして完成させた。

わたくしは陸からこの水門を見たことはないのだが、地元の人々が深く愛するくらいであるから、きっとそれもまたよい眺めに違いない。






                   [HOME]



東京を描く/東京風景1/東京風景2/橋の水彩画/近郊スケッチ/人物画/水彩画
風景写真/建築遺産/庭園/川と橋/東京の祭/年中行事/あひるの絵本
/English