万世橋(24×32cm ヴェランアルシュ 2003年1月)

先の柳橋の項で記した神田川橋巡りのうち、もっとも気にいった橋は柳橋とこの万世橋であった。柳橋は優雅な形をした鉄橋であるが、これは石かともみまがう堅牢なコンクリート橋だ。橋の底部が滑らかな曲線を描き、遠めにも美しい。絵になる形である。

徳川期にはここに筋違見附と筋違橋が置かれていた。東海道の北の延長上にあったので、やはり戦略上の価値が高かったのである。明治の初年、見附門は解体され、その廃材の石で以て橋を拵えた。先代の万世橋である。なかなか美しい橋であったらしい。現在ある橋は震災復興事業の一つとして昭和5年に完成した。コンクリート作りなのだが、意匠に工夫を凝らし、一見石造の橋のようにも見える。

この絵は電気街のある一画から交通博物館のある方向をにらみながら描いたものである。ごらんのように、親柱はクラシックなデザインであるし欄干にも凝った彫刻が施されている。この橋だけ浮かび上がらしてみると、ヨーロッパの町にかかる橋を見ているようでもある。






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