イタリア紀行
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イタリア紀行その六:スペイン広場、トレヴィの泉


(コンドッティ通り)

コンドッティ通りはカヴール橋方面とスペイン広場を結ぶ通りにして両側にはいはゆるブランドショップ櫛比してあり。西側より歩めば正面にスペイン階段を望む。通りの両側の建物はさして高からずといへど通りの幅狭きゆえに常に日影に覆はれたり。その陰と正面のスペイン階段の明度と著しき対照をなす。スペイン階段の上部には双塔の寺院聳ゆるなれど目下修復工事中にて仮説枠を覆ふやうにしてグロテスク広告掲げられてあり。頗る興ざめと言ふべし。


(スペイン階段)

スペイン階段は映画ローマの休日を通じて世界中に知れ渡りと思しく、トレヴの泉と並んでローマ観光の人気スポットなり。この日は日曜日とありて夥しき数の観光客集まりてあり。階段の右手にはシェリー・キーツ記念館あり。彼等のローマ滞在中に宿泊せるホテルの一部を作りかへたるものなれど、この日は生憎休館なりき。

文子シェリーとキーツを知らざれば彼等の詩業を講釈し、余が翻訳をネット上に公開しをれば帰国後是非読めと忠告す。


(スペイン広場の脇道)

ややしてすさまじき爆音を耳にす。見ればオートバイ部隊広場の脇道より出現し北の方向に向けて走り去るところなり。爆音を鳴らすは人々の注目を集めんとの魂胆なりや。


(スペイン広場の泉)

広場付近の路地に面せるジェラテリアにてピスタキオのティラミスを買ひ求めスペイン階段の一隅に座して食ふ。階段下には船の形せる泉あり。その周囲に大勢の人集まりて記念撮影をなしてあり。穏やかなる休日の眺めと言ふべし。

階段を上りて左に歩み文子推奨のチャンピニなるレストランにてコーヒーを飲む。その後階段下の一角なるピッツェリア、ピザ・ドーロにてピザを食ふ。実はピザを食ひたくてチャンニに入りしなれど、チャンピニは格式あるレストランにてメニューにピザを記載せず。それではとて他の店を探せしなり。

マルゲリータのピザとゴルゴンゾーラチーズのピザを注文し二人して山分けして食ふ。ややしてアメリカ人現れ店員に向って牛肉入りのパスタはあらずやと聞く。店員トマト入りのパスタならありますと答ふ。アメリカ人また聞く、豚肉入りのパスタはあらずやと。店員トマト入りのパスタならありますと答ふ。アメリカ人更に聞く、鶏肉入りのパスタはあらずやと。店員更に答へて曰く、トマト入りのパスタならありますと。アメリカ人つひに去る。


(イタリア人のエンターテイメント)

レストラン脇の広場に帽子を売る者あり。余野球帽を買ひ求めその場でかぶりたり。広場には又客をして遊戯をなさしむる者あり。背広の中に体全体を包み込み、その上部に頭を模擬せる工夫をして座しながら演技せしめてあり。

スペイン広場付近の路上にてタクシーを拾ひ、トレヴィの泉へ向ふ。料金五ユーロ九十セントなり。運転手チップを入れて六ユーロでよいといふ。七ユーロ支払ふに大いに喜ばる。


(トレヴィの泉)

トレヴィの泉は目下修復工事中にて泉には水を湛へず又仮設の枠組を施され景観著しく損はれてありしが、観光客大勢集まりてあり。

その後クィリナーレ宮殿に赴かんとして道を誤り、バルベリーニ宮殿を経てサン・タンドレーア・アル・クィリナーレ教会前の公園に至る。ここにて考へを改めパンテオンに向ふこととす。





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2015
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