漢詩と中国文化 |
HOME|ブログ本館|東京を描く|水彩画|陶淵明|英文学|仏文学|西洋哲学 | 万葉集|プロフィール|BSS |
貧交行 杜甫 |
杜甫の雑言古詩「貧交の行」(壺齋散人注) 翻手作雲覆手雨 手を翻せば雲と作り手を覆せば雨 紛紛輕薄何須數 紛紛たる輕薄 何ぞ數ふるを須ひん 君不見管鮑貧時交 君見ずや 管鮑貧時の交 此道今人棄如土 此の道 今人棄てて土の如し 掌を上に向ければ雲となり、下に向ければ雨となる、紛紛たる輕薄が世上にあふれている、君はかの管鮑の貧時の交わりを見たことがないだろうか、そのような友情も今ではすたれて誰も気に留めるものがない 天宝十一年(752)杜甫41歳のときの作。当時の杜甫は科挙に落ちて出世の見込みがなくなるうちにも、何とかして仕官先を探そうと、さまざまな人につてを求めて、自分を売り込んでいた。だがその努力もむなしく、つらい浪人生活が続いていた。 そんな中で、人情の薄さ、友情のもろさを歎いたのがこの作品である。かつて親しくしていた友人たちも、手のひらをかえしたように薄情になった。そんな人々をみるにつけて、自分はかの管鮑の交わりを思い起こすのだ。今の世の人には、そんな友情は価値のないものに過ぎないのだろうか。杜甫の嘆きと憤りが伝わってくる。 |
前へ|HOME|杜甫|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2009 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |